「大丈夫ですか?」
「え、えぇ…ごめんなさい、ちょっと目眩がして」
「こちらに…」
覗き込んだ女性の顔は血の気がなく青白かった。
化粧のりも悪く、目の下のクマがひどい。
私は橋の中盤にあるコンクリートで出来たベンチに、女性を座るよう促した。
「ご気分悪いですか?何か冷たい飲み物でも買ってきましょうか」
「いいえ、大丈夫…ごめんなさいね、ご親切にどうもありがとう」
女性は申し訳なさそうに何度も頭を下げた。
「駅に行くんですか?御一緒しましょうか」
「そんな、ご迷惑かけれないわ。貴女も買い物帰りでしょう?」
女性は私の買い物袋に視線を向けた。
「大丈夫。少し休んだら平気だから」
「そうですか…」
せめてタクシーでも拾えないだろうか。
しかしこの通りにタクシーが通ることはめったにない。
駅前まで出ればつかまるだろうけど、それじゃ意味がない。
「あのアパートでね、息子が亡くなったの」
「え…」
突然の女性の言葉に、思わず身体が硬直した。

