疲れた身体に、染み渡るような優しい甘さ。
ほろ苦いカラメルが、甘さをさらに際立たせる。
美味しかった。
不意にもらったそのプリンが、今日1日を生きた思わぬご褒美のようで、少し救われた。
「…あぁ、なんだ、この人笑ったら可愛いじゃん、
辛気臭い顔してたら勿体無いないのになぁって思った」
「……そんなひどい顔してた?私」
「そりゃあもう、負のオーラ満載って感じで。
…俺さ、自分が作った料理で誰かが幸せそうな顔見るのが好きなんだよね。
母親のそんな顔見たのがきっかけで、調理師になったんだけど、
俺の作った料理で、この人のそういう顔見てみたいなぁって……
明日香ちゃんを、“あぁうめぇー”って唸らせてやりたいって思った」
「…そんなに言うなら、今度御馳走してよ、タロウの手料理」
「……」
私の言葉に、彼は答えなかった。
代わりに夜空を仰ぐように見ると、“あーぁ”とおどけた調子でため息をつく。
「こんなことになるならさ、“あぁしとけば良かった”、“もっと早く動いとけば良かった”、
“そしたら何か変わってたかもしれないのに”って…
今更そんな風に思ったって遅いんだけどさ」
彼が仕事のことを言っているのか、それとも私とのことを言ってるのか分からなかった。

