いつもより重いビニール袋を手に、夜道を歩いた。
春の夜風が肌をなぞる。
橋に差し掛かった。
いつもその真ん中に立って、人懐こい笑顔を向けるタロウが……
その姿が見当たらなかった。
(……なんで今日に限って居ないのよ…)
少しここで待ってみようかとも思ったけれど、やめた。
そもそも、どうして居ると思ったのだろう。
たまたま今まで居合わせただけで、約束してたわけでもない。
ここに来れば、会えるって…
私の帰りを、彼はここで待っててくれるって…
まるでそれが当たり前みたいに思ってるなんて、
単なる自惚れじゃないか。
彼には彼の生活があって…
今日は都合が悪いのかもしれないし、バイトなのかもしれない。
あ、もしかしたら面接が上手く行って、また調理師として働き始めたのかな……
公園に行ってみようかとも思ったけれど、前みたいに見まわりの警官に声をかけられてもめんどくさい。
仕方なく、まっすぐ帰ることにした。

