「…さっさと終わらせて帰ろ」
離れて暮らす母親に、“仕事はどう?”と聞かれた時、
嘘でも“楽しいよ”とは答えられないけど…
こんな会社辞めたいとまでは思ってないし…
確かに、息苦しさを感じることはよくあるけれど、我慢出来ないほどではない。
ただたまに、ふっと何もかもがどうでも良くなる時がある。
“今なら死んでも良いかも”って、考える時がある。
でも、実際実行にうつすわけじゃないからまだ大丈夫。
私は、そんなに弱くない。
データを完成させて最後に応接室の電球を変えて、オフィスを後にした時には、時計は21時前を指していた。
いつもと比べると割と早い方だった。
「明日香」
「…三雲さん」
会社を出たところで、呼び止められた。
まさか、私が出てくるまでずっと待っていたのだろうか。
「……なぁ、少し話せないか?お茶でもしながらさ…」
「話すことなんてありませんから」

