「な、何よ」
「んーん、また見れて良かったって思って」
「…??」
何のことかよく分からなかったけれど、
ひとり嬉しそうに笑ってる彼を見て、不思議と悪い気はしなかった。
…変なの。
私、そんなに落ち込んでたのかな。
こんなどこの誰かもわからない彼との、
こんな些細な関わりが、心地よく感じるなんて…
「へぇ、この公園に噴水なんかあったんだ」
「知らなかったの?」
公園の真ん中にある噴水。
この時間は動いておらず、水面に夜空が映る。
タロウは噴水の淵を歩いた。
「ここ、数年前にドラマの撮影で使われたのよ。
この噴水の中で、主人公たちがキスするの」
「そうなの?全然知らなかった。ドラマとか観ないからなぁ…。
この辺、3年くらい住んでたけど知らないこといっぱいだ」
「3年?じゃあ私と同じ…」
振り返ると、タロウの身体がふわりと揺れた気がした。
そのまま、噴水の中へ倒れそうになる。
「あっ……」

