「……え?」
だけどそこに彼の姿はなかった。
私は辺りを見回す。
いつの間に立ち去ったのだろう。
それとも、そもそもが幻覚だったのだろうか。
私、本当に疲れてるのかも……
そう思いながら、私は家路を急いだ。
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ーーーーーーーーー……
「やぁ、また会ったね。
いつもこんな時間なの?」
翌日。
昨日と同じように夜21時を回った会社の帰り道。
あの橋の上で、“彼”は立っていた。
何故もっと早くに気付かなかったのだろう。
まるで今唐突に目の前に現れたみたい。
そんな彼が、あの人懐こい笑顔でフレンドリーに話しかけてくる。
さすがに私は警戒した。
生憎この時間には人通りのない道だ。
思い切り声を出せば誰か近隣の住民が気付いてくれるかどうか…
それとも全力で走って駅前の交番まで戻るか…
「今日はとろろそば?
暑かったもんね、5月に入った途端もう夏って感じだよね」

