関東や西日本で桜が咲き始める頃、東北秋田県ではまだ開花の様子など微塵も見せてくれない桜の木が並ぶ通りに、ある大学があった。
偏差値は平均並、特徴をあげるとすれば地元民が多く秋田美人が多いことくらいだろうか。
高校までの制服を脱ぎ、開放感と期待と、ほんの少しの不安を抱いた新入生が、数日前の試験日とは違う面持ち心持ちでこの学校の門をくぐる。
わたし、鈴木ちさとも、その新入生のうちのひとりである。
この学校は第一志望の学校ではなかったけれども、自宅から通える学校に合格できたことはわたしにとってと親にとっても、まぁまぁ良しと言える結果だった。
これまでと全く違う刺激を与えてくれるであろうこの学校に、少なくとも4年は通うことになる。
授業はもちろん、アルバイト、サークル、やりたいこと楽しみなことはあげたらきりがない。
今までのわたしとは違う自分に会いたい。これからは自分の好きなことをめいっぱいやりたい。
わたしは今日から、大学生になるんだ。