「何で教室にいるの?」 沈黙の中にわたしの音だけが不器用に響く。 そんな状況に堪えられなくなって、喋りかけてしまった。 「音が好きだから」 そんなうっとりした穏やかな顔で言わないでよ……。 楽器の音。 そんなこと分かってる。 でも自分の名前の一文字に胸が揺さぶられる。