どことなくソワソワしている校舎内。

それとは裏腹に、私たちはほっとしているのもまた事実。


本当は今日から試験開始なんだけど、一足お先に合格を頂いてしまった。



木造の長い廊下を私が前に、拓馬がその後ろに、微妙な距離感を保って歩いている。



「なんか、変な感じだね。もう受かってるとかさっ」

「あぁ。なぁ、ちさと……」

「なにー?」



近道のために講堂内へと足を踏み入れる私たち。



「俺さ……」




「ちさとのことが好きだ……」



心臓がドキリと飛び跳ねる。

けれど……