Dr.早瀬


「っ!」

「噛むな。」

気づけばキスされていて。

気づけば目の前に研修医の顔があった。

優しい目で見つめられる。

椅子に座ってたはずが、いつの間にかベッドに座ってる。

「泣くなよ。」

頭を優しく撫でられる。

そんなことされたら、抱きつきたくなる。

「…!」

あたしの思いが伝わったかのように
優しく抱きしめられて

「お前が素直になれねえなら、
俺が汲み取ってやる。お前の気持ち。」

もうなに。なんなの。

そんなこと言われたら素直に言いたくなるよ。

「…あたし、口悪いよ?」

抱きしめられたまま、小さな声でそう言う。

「ああ。」

優しい相槌がすごく落ち着く。

「あたし、すぐ怒るよ?」

「ああ。」

「っ、あた、し、意地っ張りで、子供で、」

涙が溢れる。

ふっと笑ったのが分かる。

「ああ。」











「あた、し、長く、生きられないよ?」

少し研修医の身体がビクッとした。

「そんなこと俺がさせるわけないだろ。」

力強い返事に、布団の中で握りしめていた両手を、研修医の背中に回した。

「怖いよ、研修医といたら、自分が自分じゃなくなっちゃうっ、」

「そんだけ俺のことが好きなんだろ?」

ふっとまた笑って、抱きしめる力を強められた。

「あたし、みんなに忘れられたくないの。だから、とことん嫌いになってもらいたいの。そしたらみんな忘れないでしょ?」

研修医は何も言わない。

「研修医といたら、自分が優しくなっちゃいそうで、怖い。…っ忘れられたくないよ!」

抱きしめられていたことで落ち着いてた涙がまた溢れてくる。

「俺が死なせない。
だから余計なこと考えんな。
大丈夫だから。」

不思議と、研修医に言われると本当に大丈夫な気がしてくる。

「由那。」

右手であたしの頭を撫でながら、左手はあたしの肩を優しく抱く。

「ん?」

背中に回してた手を腰に下ろす。