それから体温や採血、
血圧を測って午前中の
検査は終わった。

天気が良いし、
また広場に行こうと
ベッドから出てスリッパに
足を入れた時

コンコン

「由那さん?
いるか?」

研修医だった。

「...は、い。」

なんて返したらいいのか
一瞬 迷ってぎこちない
返事になってしまった。

「入るぞ。」

ガラガラ

「体調どうだ。」

ベッドに近づいてきて
尋ねられる。

「...大丈夫。」

「なら良かった。
顔色も、よさそうだな。」

優しく微笑みながら
言うから、素直になれない
自分がすごく嫌で
顔をふせてしまった。

「どっか行くのか?」

あたしの体勢でそう
気づいたのだろう。

あたしは黙って頷いた。

「ああ、広場か。」

「えっ...」

考えていることが
ばれていたことに
驚いて勢いよく
顔を上げてしまった。

「気にってるんだろ?」

あたしの顔が肯定を
示していたのか、
研修医はあたしが広場に
行くことに確信をもったらしい。

「ほら行くぞ。」

それだけ行ってクルっとドアの方に
体の向きを変えて歩き出す。

「は、ちょっと!!」

急いでスリッパに足を入れて
追いかけた。