「まぁ、ちょっとずつ自分出していけばいいんじゃない?」

ニコリと笑って言った明希。

うぅ…ヤバッ…泣きそうなんだけど…あたし。

「明希ありがとー!!!」

ギュッ

あたしはまた明希に抱きついた。

「もーいいから!!早く教室行くよっ!」

今度は明希に手を引っ張られながら空き教室を出た。



あたし、いい友達持ったなぁ…

明希は本当に頼れる幼馴染。




少し晴れた気分で教室に向かうあたし。



ん?

何か忘れてねぇか?


そう思ったとき、明希が教室のドアを開けた。


ガラッ

その瞬間あたしに向けられる無数の視線。
シーンと静まり返る教室。

もうすぐチャイムが鳴る時間。
教室には結構な人数が集まっていた。

忘れてた。

っていうかコノ状況から逃れるためにわざわざ西校舎まで走ったんじゃなっかったっけ?
あたし…。


バカだ。あたし…。

…いや、待てよ?

これは上手く明希に乗せられたんじゃ…


ゆっくり明希の顔を見れば…


「ククッ…」

悪魔が笑っていた。

おのれぇぇぇ!!!!!!

あたしは今までで一番恨みを込めて睨んだ。

「ごめんってば!」

けど、騙されてしまったからには仕方が無い。

小声で謝ってくる明希を無視して、言い訳を考えてると…

「西村って、あぁいう面もあるんだな!」

突然、一人の男子があたしに向かって笑顔で言った。

「え…?」

急に話しかけられるとは思ってなかったから気の抜けた声が出てしまった。

でも、その男の一言で教室の雰囲気が一気に変わった。

「だよねー!!あたしビックリしちゃった!!」

「俺も~!あんな西村、初めてだったからマジ驚いたわ~」

「でも、何か意外な一面見れてよかったぁ♪」

ついさっきまで、重い空気だったのに一瞬で軽くなった。

そして何事もなかったかの様に皆楽しそうに喋ってる。

あたしはただ呆然だった。