ぽっかり浮かぶ白い月。



小さな部屋に火の気はなく、冷たい空気を遮るように。



お互いに身を寄せる。



「何してんの?」



「ご本読んでるの。」



「目ぇ悪くなるよ。」



「平気だよ、今日はお月様が明るいから。」



はあー、



深いため息と共に小さな影が動く。



「何読んでるの?」



「星が降る国のお話。」



それは父親が二人にお土産で買ってきてくれた画集で、彼女はただ絵を眺めているのだと知った。



「いいなぁー、お父さんはいつもこんなキレイな国をたくさん見てるのかな?」



「さぁね、それただの絵だし。」