「・・君は、この花の名前、知ってる?」



「・・・・・・」



少年は花びらから視線を離すと、はっとした表情になる。




「ごめん。怖がらせたかったわけじゃないんだ。」




「・・じゃあ、何しに来たっていうのよ。」



ミユウの暗い目からはとめどなく涙があふれる。



魔法使いが一旦自分の呪文を破られてしまうと、その先に命の保証はない。




ベッドの上で杖を握っていた手が震える。



「・・ほんとに、ごめん 
 


 これで、安心できる・・・?」



今度はミユウが目を見開く番だった。