真夜中の魔法使い


風が止んでみると、部屋の中の物は全てめちゃくちゃに吹き飛ばされていた。家自体が破損しているのは大きな窓ガラスだけなのだが、如何せん物が多かった為に沢山の瓦礫が床を覆っている。


「もしかして、ハルト、何かした?」

「いや。」


何もしてない、と肩をすくめてみせるハルト。


「ミユウちゃんはすごいね。ほんとに、成功させちゃった!」

「だって、ヨウさんがこれしかないって・・・」


「ミユウ!!!」

「えっ!?」


どこか遠くから、あまりにも聞き慣れた声が届いた。久々に力を発散したから、変な能力まで開花してしまったのだろうか。聞こえてきたのはこの雪山で聞くはずのない声である。