真夜中の魔法使い


一方ミユウはというと、冷や汗をかきはじめていた。
ああ、もうそろそろ力が押し負けてしまう・・・


「ミユウちゃん!」

「・・・はい?」

「さあ、最後の一仕事だよ!」

「・・・」


勢いよく名前を呼ばれて顔を上げたけれど、信じられない事を言われ、言葉が出てこなかった。


「おいおい、ミユウにはもう無理だって。」

ハルトもさすがに無理があると思ったらしく、やっと一歩進み出るというやる気を見せていた。
お願いだからこのままハルトにお願いする流れになりますように、と思いながら必死にいやいや、と首を振る。

一見物腰が柔らかそうなヨウさんは、とんでもなく冷酷な人なのではないか。最初にヨウさんに会った時、言葉に棘を感じたのは気のせいではないのかもしれない。
そんなことを考えていたのがばれたのだろうか。ミユウに厳しい最終通告が言い渡された。


「いやいや、一瞬で済むし。むしろこれしか効かないんじゃないかな〜。」

「わか、った。はやく、方法を・・・」


ともかく、それでこの嵐が収まるというのなら行動に移した方が早い。
仕方なく答えると、ヨウさんはニコッと笑みを浮かべて、方法はね、と話し始めた。



「お兄ちゃんやめて!」



「「え?」」