するとピタリ、と音と風が止まった。
いや、止まっているのはミユウたちの周りだけだ。

三人の周りをクリーム色に輝く膜が覆っていて、その外ではいまだに黒い物体が飛び回っているのが見える。状況の変化に身体が追いついたからか、少し遅れて風の音も聞こえるようになってきた。


「ふう、これで楽になった。
ハルトもヨウさんも平気ですか?」



「ああ、大丈夫だよ。
だけど、これは・・ミユウちゃんが?」



「呆れるほどの馬鹿力だな。」


「ちょっと、馬鹿力ってなによー!」


振り返ると二人とも特に目立ったケガはなさそうだった。
でも自分も含めて皆、風に煽られて髪の毛が爆発していて、油断すると笑ってしまいそうだった。



「いやいや、だってあんな強力な魔力が渦巻いていた中からこれだけの空間を切り離すなんて。
驚いたなあ・・。」



髪のことはお構い無しに、一人で感心しているヨウさん。


何をそんなに考えているのかわからないが、未だに大荒れの外の状況をどうにかしてもらわないと困る。




「それで、あの、これはなんなんでしょうか。どうにかして止めないと、このままでは・・」


強烈な力がミユウの作り出した膜を絶えず圧迫していて、長時間持ち堪える自信はなかった。