まず自然災害ではないことは確かだが、だとしたら誰がこんなことをしているのだろう。


為す術もなくそんなことを考えているうちに、いよいよ風は部屋中の物という物を撒き散らし始めていた。


植物なのか本なのか、判別のつかない黒い物体がひっきりなしに視界をかすめていく。




「な・・か・・・しろ!!」


「え、、、な!に!?」


風がゴウゴウと吹き荒れる中、ハルトとヨウが何か言い合っているらしい。


最も、近くにいるはずの二人の姿がぼやけて見えるほどの強風の最中、会話が成立しているとは言い難かった。

声を出せていることが不思議なくらいだ。


なんとかしてくれるのを待っていては身が持たない、と判断したミユウは、体内に残っている酸素を静かに吐き出した。


これだけの力を使うのは久しぶりなので少し緊張する。
だけど躊躇ってはいられない。


吐く息が尽きたところで、ミユウは力一杯杖を振り回した。