真夜中の魔法使い




「これかあ。随分と綺麗な花だね。」




昼食後、ミユウは花の瓶をもってミナトの部屋を訪ねていた。




「でしょう!でも、花びらだけじゃわからなくって。」



「そうだなあ。
この花びらは、どこで拾ったの?しかも、魔法がかかっているみたいだけど。」



「あ、それは・・・」



アキが侵入してきた日、兄は大学の研究室に泊まっていたのであの一件については何も知らないのだ。
しかも普段ミユウはほとんど外に出ない。


勉強は家でミナトに教わっていたし、自分から外に出かけることもなかった。



どうしよう・・・なんとなく、言いづらい。




「それは・・?」



急に言いよどんだミユウに対し、ミナトはなにか察したのか探るような目を向けてくる。




む、無理だ。お兄ちゃんに対して適当にごまかすことなんてできない。




「それは、人から・・もらったの。」



最後の方は消え入りそうな声になってしまった。
勝手に家に人を上げたと知ったらどうなってしまうのだろうか・・。


想像したら寒気がした。