「それで、間違えてっていうことは、もともとはアキをここに連れてくるつもりだったんだよね?」



これまた物で溢れかえっているテーブルを囲んで席に着くと、ミユウはハルトに質問を投げかけた。



「ああ。そうだ。」




「私を暗い空間に閉じ込めた人は、アキを狙っていた・・?」



「当たり前だろう。一般人のお前を追っかけまわすほどウチは暇じゃない。」



「う、まあそうだけどさ、私はあの爆発の犯人なわけだし?
てっきりブラックリスト入りしているものかと・・・」



「バーカ。そんなの全部もみ消したに決まってんだろ。」



「え?どういうこと?」


ハルトの言っていることがさっぱり分からず、つい訝しげ目線を向けてしまう。



「ハハッ可愛い顔してるのに、眉間に皺寄せちゃって。勿体無いよ?」


これまで黙ってハルトとミユウのやり取りを静観していたおじさんが、急に口を挟んできたかと思えば、全く関係のないことではないか。



「は、はあ。」


ますます混乱して余計に険しい表情になってしまう。


「おい、ヨウ。余計な口挟むなよ。ますます変な顔になってるだろうが。」



「ハルト、いくら混乱してても悪口言われてるのはさすがにわかるよ?」


ぷーっと膨れてみるもハルトはお構いなし。
しれっとおじさんが淹れてくれたハーブティーを飲んでいる。



「やーっと名前を呼んでもらえたよ。僕はヨウ。よろしくね、ミユウちゃん。」



「あっ、よろしく、お願いします。ヨウ、さん?」


テーブルの向こうから手を差し伸べられ、握り返すと、ブンブンと腕を振られた。
おかげで肘で近くにあった本の山を一つ崩してしまったが、ヨウさんは全く気にしていないようだ。


「ヨウでいいよ~僕に丁寧に接したからといって何も得しないからね。」