しばらくたって、フッと引っ張られる力が弱くなるのを感じ、ミユウは身構えた。
「きゃっ」
それにも関わらず、予想していたよりも柔らかいところに着地したため、大きくバランスを崩してしまった。
「おっと、危ない。」
倒れる前にしっかりとした腕に支えられ、恐る恐る目を開ける。
前にも同じことがあったような・・・
「えっ、ハルト・・・?」
目の前で、ミユウを支えていたのは、間違いなくハルトだった。
太陽の光を受けて、銀色の髪がキラリ、と輝いている。
「どうして・・あのっ、えっと・・」
さっきまで大学で、しかも暗闇に閉じ込められていたはずなのに。
どうしてハルトに支えられた状態で、どこか知らない静かな場所にいるのだろう。
「おい。いつまでこのままでいるつもりだ。」
「ああっご、ごめんなさい。」
ハルトの冷静な声に、我に返り、慌てて離れる。
改めて見回すと、どうやら森の中にいるようだ。
鬱蒼と茂った木々は厚い雪に覆われている。
言うまでもなく地面にも雪が積もっており、ミユウがバランスを崩したのも無理がないことだった。
「さっさと行くぞ。」
キョロキョロとあたりを見回すミユウに構わず、ハルトは雪の中をさらに奥へと進んでいった。


