真夜中の魔法使い



「なんかその言い方だと私が働かないみたいじゃない。虫が苦手なだけで、働きたくないわけじゃないからね!」



「はいはい、わかってるって。虫も慣れちゃえば気にならなくなると思うけどなあ。植物って本当に奥が深いし、楽しいよ?」



アキに園芸好きの一面があったとは意外だった。
思えば月下美人を育てるくらいだから、相当熱を入れてきたのに違いない。


「わたし、アキみたいに園芸オタクじゃないもん。」


「オタクってなに!ミユウだって・・えっと・・・」


アキは必死になって反撃の言葉を探しているようだったが、完璧に詰まってしまっている。
悲しいことに、ミユウにはこれといって熱中している趣味というものがないのだ。


「ほら、私はオタクじゃないでしょ!」


「なんかくやしー!」



「ははっでも、たまには私も手伝おうかな。」


ミユウだって威張れることではないのに、ちゃんと悔しがってくれるアキがなんだかおかしくてそう言っていた。