真夜中の魔法使い



「ふわあ・・・眠い。」


ミユウは湯気が立つ、美味しそうなポタージュを前に大きなあくびをした。



「もう、ミユウったら。
もう10時なんだから、シャキっとしなよ。」


アキはハムとチーズの乗ったマフィンをミユウの前に置くと、自分用のカップを持ってミユウの向かいに座った。普段はミナトが座る席だが、学校に行っている間は代わりにアキが座るのが習慣になっていた。


はじめはアキも遠慮していたが、二人しかいないのに隣に並ぶのは不自然だ、とミユウが言ったことでアキも納得したのだった。



「アキが早起きなだけだよ・・。」


ふーっとスープを冷ましながら、正面のアキに抗議の視線を送る。



「だって午前中から行動しないともったいないじゃない。」


「そんなに頑張らなくてもいいんだよ?」


「ええ~楽しいのに!あんなに立派な温室、普通の家にあるものじゃないよ!」



アキは最近、毎日のようにうちの庭にある、温室の手入れをしていた。
温室はお母さんの植物好きがこうじて作ったものだ。


ミナトもミユウもなかなか手入れができずに何年も放置されていたのだが、アキが自ら世話をしたいと言い出したのだった。