これからミユウが取り掛かろうとしているのは、薬草を使った魔法の一種である。
今回は薬を調合するのではなく、呪文の一部として薬草を縫い込むのだ。
針に白い糸を通し、セットの中から、茶色く、干からびた根っこを取り出した。それをピンセットでつまみ、コートの裾の裏地の上に置く。さらにその根っこが見えなくなるように糸で周りを縫っていく。
白い円の形ができれば完成だ。
円の中心に杖をつき、呪文を唱えると、コート全体が少し浮いて、毛羽立ったようになった。
「ふう・・・」
ミユウは脱力して杖を放り出した。
呪文は無事に効いたようだ。
ぐったりとベッドに横になったミユウは、そのまま眠りに落ちていった。


