真夜中の魔法使い




ミナトはニヤニヤしながら好き勝手にミユウの頬を引っ張っている。


「のふはらはらしれ・・!」
(飲むから離して・・!)


「はいはい。
体が動くようになってもまだ魔法は禁止だ。いいね。」


「はーい」



ひとしきり妹の顔で遊んで満足そうなミナトは、取って付けたようにミユウに注意をする。



ミナトはいつもそうだ。
大事なことほどさらっと言ってしまうんだ。


ミユウがミナトのそんなところをきちんと理解しているからこそ、なのかもしれないが。



ミナトに支えてもらってなんとか薬を飲み終えると、スッと重みがなくなるように、身体が楽になるのが分かった。