真夜中の魔法使い




普段から眠りが浅いのに一日中目も覚まさずに寝ていたなんて、我ながらすごいことだと思う。


「それだけ弱っていたってことだよ。それに、薬の影響もある。」


まあ、たまには何も考えずに眠るのも悪くないかな。

そんなことをぼんやりと考えているうちにミナトは部屋を出てマグカップを片手に戻ってきた。



「また薬・・?」



マグカップからは普通の飲み物だったらどれだけ熱いのだ、といったほどもくもくと湯気があがっている。



「そうだ。これを飲めば動けるようになる。」



と言うことは、一昨日飲んだ薬には体の力を奪う作用があったんだ。

ふむふむ。と考えを巡らせていると、空いている方の手で頬をつねられた。



「考えてないでさっさと飲む!」


「いはいっ!」
(痛いっ!)


体を動かせないのだから抵抗のしようがない。