1人ポツンと入り口に取り残された途端じわり、と忍び寄る影。
何度となく襲いかかって来た恐怖に、とうとう捕まってしまった。
「・・アキっ・・」
自分の両腕をぎゅっと抱き、うずくまる。
「ーーミユウ!」
完全に暗闇に身を任せそうになった時、自分を呼ぶ声に引き戻された。
ハッと顔を上げるけれど、煙が目に染みてちゃんと開けていられない。
「・・ハルト?」
聞き間違いなはずは無い。
アキの明るく、柔らかな声とは違った凛とした響き。
初めて名前で呼ばれたのでピンと来なかったけれど、ハルトが呼んでいるのだ。
「ミユウ、こっちだ!」


