今は、いくら本を読みすすめても眠りの世界に誘われることがなかった。 頭が寝ることを拒んでいるみたいに。はっきりと覚醒してしまうんだ。 そのうちに本を読み終わって、枕元の読書灯を消すと、窓の向こうに広がるまだ明けない夜の空を見つめる。 寝静まった街。 星たちが微かに瞬いている。 いつもと同じ夜。 穏やかで、孤独な夜。