余りにも勢い良く炎が上がったので誰一人として消火に当たろうとはせず、皆出口を目指して走っていた。
ミユウもその中に紛れて駆け出す。
「げほっげほっ」
極度の緊張で息が浅くなっていたため、思いっきり煙を吸ってしまった。
走る速度は緩めず、出来るだけ身を低くして廊下に出る。
廊下は逃げるメイド、そして彼女らが呼んだ執事や護衛で混雑していた。
「何があったんだ!」
「これは俺たちの手に負えない!」
「よりによって旦那様がいらっしゃらない時に・・」
皆、瞬く間に燃え広がった炎を前に困り果てた様子だ。
フレッチャー家の者が来るのも時間の問題だろう。
人々の合間を縫って、来た道を戻ろうとした。


