そのまま釜戸の方まで歩いていく。
大きな釜戸の横は物置スペースになっており、箒やバケツ等、掃除道具がまとめて置かれていた。
ミユウは掃除道具を取りに来た様子でしゃがむ。
端から見ると、よりにもよって重なっているバケツの内、一番下の大きなバケツを取り出そうとして、手こずっているように見えているだろう。
こっそりエプロンのポケットから杖を取り出すと、自分の身体で隠しつつ、その先を隣の釜戸に向けた。
杖を持つ手が震えた。
だけど、こんなところで恐怖に負けるわけにはいかない。
短く息を吸うと、シュッと空を切るように杖を振った。


