真夜中の魔法使い




しばらく歩いていくと、ガチャガチャと騒がしい音が聞こえてきた。


メイド達が忙しく出入りする、厨房だ。


夕食の後片付けと明日の仕込みをしているのだろうか、騒がしさが他の廊下とは桁違いだ。



もう透明術は解けてしまっていたけれど、そのまま足を緩めずに中に入る。


うつむいてはいるが、ずっと控えめな照明の廊下を歩いてきたため、明るい厨房に入ると目がチカチカした。




他のメイド達は忙しさのあまり、知らない顔が入ってきたことに気付いた様子はなかった。