真夜中の魔法使い




しっかりと衣装のイメージを頭に焼き付け、杖を握り直した。


窓からの明かりが届かない場所まで、屈んだまま移動した。

死角になっていることを確認すると立ち上がり、杖を構えたままくるり、と一回転した。



一瞬暖かい空気が全身を包んだかと思うと、次の瞬間一気に冷気に包まれた。


これで屋敷の中で働くメイドたちと全く同じ格好になっているはずだ。



コートもマフラーもなくなってしまったため一気に寒さが身体に染み渡る。



「ううっ中に入ろう・・」



念のために透明魔法をかけてから室内に転移することにした。



効果は一字的だが、透明でいられる時間を利用して上手く他の使用人たちに紛れられるかもしれないと考えたからだ。