玄関ホールに繋がる階段は登らずに、右に曲がって庭へと足を踏み入れた。
門を突破したのでこれ以降は防護呪文の心配はしなくてもいい。
だが、人の目が圧倒的に多くなるので、正面から入ることはできないのだ。
今度は生垣に紛れて大きな窓から屋敷の中の様子を探る。
夜も更けつつあるというのに、多くの使用人達が廊下を行き交っていた。
「あれなら、いけるかな・・?」
目をつけたのはいわゆるメイドと呼ばれる使用人だ。
本当は動物に変身する呪文を試してみたかったのだが、この屋敷では動物の姿でウロウロする方が目立ってしまいそうだった。
計画のためにもその格好が好都合であることは間違いない。


