いよいよだ。


門の目の前に来ていた。

真上ではトカゲの像が睨みを効かせている。



見張りは門の内側にいるはずだ。


防護呪文を破り、かつ中の人々に異変を悟らせないためには、呪文破りと麻酔呪文を同時にかける必要があった。



門柱の影に身を潜め、何度か深呼吸をした。




一気に息を吸い、止める。




そして二つの呪文をかけ始めた。

防護を解除する呪文を口で唱えると同時に、詠唱破棄で門の向こうにいる人たちを眠らせる。






1分は経っただろうか。



寒かったはずなのに、額には汗が滲んでいた。



あと少し、あと少しで門の守りが解け、見張りは完全に眠りに落ちる。