徐々に速度が上がってくると、星たちまでもが動き出したように見えてきた。
いや、実際に動いていた。縦に、横に、上に、下に・・
星たちはキラキラと虹色の軌跡を残しながら自由に動き回っている。
「これも、アキが・・・?」
ミユウは目の前で次々と繰り広げられる星たちのショーに夢中で、恐怖をすっかり忘れていた。
アキが言ったとおりに暗いし、おまけにくもの上に来てしまえば、どのくらい高いのかは全くわからなくなってしまっていた。
「うん。そうだよ。」
「すごい・・!」
アキはミユウのもう一方の手も掴んで向かい合い、ぐっと上昇して後ろ向きに回転した。
急に天と地が逆さまになって目が回る。
「きゃーーっ」
ミユウの声が広い夜空に響く。
「ふふ。油断したね。」
いたずらが成功して、アキは嬉しそうにニヤリとする。


