無意識のうちにミユウはギュッと繋がれた手を握り締めた。
不安に揺れるミユウの瞳をアキの手が優しく覆う。
「合図をするまで目を閉じていて。」
アキはそう言うとブツブツと呪文を唱え始めた。
肩下まで伸ばしたミユウの髪が夜風になびく。
アキの魔法のおかげか、冷たいはずの冬の夜風が暖かく、心地いい。
目を閉じていても高度が上がっているのを感じて強く目を瞑る。
「もう少し。」
すぐ隣から低くも高くもないアキの落ち着いた声が聞こえる。
しばらくすると風が止み上昇も止まった。
「さあ目をあけて。」
アキの声に誘われて恐る恐る目を開ける。


