『今日は珍しくモリさんもいませんし、個人でお話でもしますか?』
シマさんが笑顔でそう言った、気がした。
モリさんというのは、私と同い年の男の人だ。
いつもこの時間はモリさんが一番に来て、チャットを賑わせてくれる明るい人。
よく、私のくだらない相談も聞いてくれている。
『そうですね。』
私がそう打つと、ピィロンっと音がなって、個人チャットの方にシマさんの言葉が表示された。
『最近、どうですか』
彼らはみんな、私のことをよく知っている。
高校一年、ひとりぼっちになり、三学期から全く学校に行けなくなったこと。
今現在も、学校に行けないこと。
春は花粉と新学期が私を襲う。
だから、きっと心配してくれているんだろう。
私は画面上からシマさんの文字を撫でる。
涙が出そうで、ひっこめる。
ここ最近、何度も行う動作だった。
「……きって言ったら…どうなるのかな。」