「...はあ」



ため息をついたと同時に、部屋のドアがノックされた。






「理沙、今さっき大地くん来たんだけど」


「わかってる!」


「今日の20時、ここ出るんですって」


「わかってるってば!」


「ちゃんと水飲んでる?」


「飲んでるから大丈夫ってば」


「...はあ」





ドア越しにお母さんのため息が聞こえて、部屋から離れていく足音がした。


窓の外からは、夏のクセにふんわりとした爽やかな風が入り込んできて、あたしの頬を撫でていく。

そんな風が、なんだか味方してくれているような気がして、少し泣きたくなった。
...なんの味方、敵なのか、わかんないけど。






「...大地、なんで今日なのよ」









なんでずっと、ここにいてくれないの。