来年の夏まで、大地に会えない。







「───理沙」


「...」



外から微かに聞こえてきたのは、大地の声だ。

その声に応えようとしたけれど、身体が重くて動けなかった。
...いや、違うな。


動けなかったんだ。





「......」


「...バカ理沙。早く風邪治せよ」


「......」




外からそれだけ言い残して、大地は自分の家へ戻っていった。



「...だいち」






ポツリと呟いてから、重い身体を動かして窓の外を見ても、大地の姿はもうなかった。