「は、遥!? どこ向かってんの?」 歩くスピード速いし……。 「っ遥……」 「屋上。」 「お、くじょう……?」 屋上って生徒立ち入り禁止だよね……。 いろいろ聞きたいことがあるけど、 遥の歩調に合わせるのに必死で何も聞けなかった。 ものの2分で屋上に入るドアの前に着き、 遥はポケットを私の手首を掴んでいる方と逆の手で探り始めた。 ポケットから出てきたその手には小さな鍵が握られている。 「斎藤の裏技。」 そう言って、遥は屋上へと続くドアを開けた。