ベッドで寝る度、君のかわいい顔がちら

ついて息が止まりそうなぐらい身を焦が

していたというのに……


他の女に興味がわかないぐらい君に夢中

なのに…思い出させてやる。


「あの日なんで黙って帰ったのかな?」


潤んだ瞳で何も話さない彼女。


そんな目で俺を見るな…怒りが薄れてい

くじゃないか。


「一緒にベッドの…」

彼女の手が俺の口を抑えると彼女の頬が

染まっていく。


あの日の俺達をやっと思い出したか。


(クスッ)


意地悪はこれぐらいにしておこう。


これ以上すると、嫌われそうだ。


「さっさと帰ろ、最終に間に合わない」


優しくしたいのに自分がコントロールが

できない。


こんな事ははじめてだ。


彼女を連れて駅へ向かう。


普通に歩けば間に合う距離なのに今日の

彼女は普段の半分程の歩幅だ…


とても歩きにくそうにしている。


タクシーを拾うべきだろうか?


いや、彼女との時間が減ってしまう。


間に合わなければそれでいい。


彼女との時間が長くなるのだから……


なんとか終電に間に合ったがタクシーに

乗ればよかったと後悔する。


後悔しても遅いが…男達の彼女を見る目

が気に入らない。


彼女なりに急いで歩いたのだろう…


電車に乗り込むと頬をほんのり赤く染め

息をととのえて火照りを消そうと手で顔

を扇いでいる彼女。


そんな姿をいやらしい目つきで見ている

男達がいるのを彼女は気づいていない…


無意識に男を煽っていることをわからな

いのだろうか⁈


無自覚だから余計に腹立たしい。


そんな姿は俺だけの前でいいのに…


男達から彼女を隠そうと角へと押し込む

と浴衣の襟から見える彼女のうなじ…


その白いうなじに俺だけの印をつけたい

と思っている俺がここにいる。


(ちっ、なんで、そんな格好してんだよ)


人の気も知らないで…無自覚だからタチ

が悪い。


彼女は、急に怒りだした。


「……さ・よ・う・な・ら」


訳がわからず一瞬固まる。


ここで別れる為に一緒に帰って来た訳じ

ゃない。


そんな無防備な格好で1人で帰せない。

何かあったらどうするだ。


急いで追いかけ彼女の手を捕まえた。


手を繋ぎ直すと先ほどまで怒っていた彼

女がはにかむ。


なんて、かわいいんだ。


次の手を打たなければ…さて、どうした

ものか⁈