「おはよう」

聞き慣れた声の主は、友達の美雪。


「今日は一段と浮かない顔してんねー」

「ん…ただの夏バテだけどね」


人々の熱気で蒸し暑い車内は、私の体力を奪ういちばんの原因だった。


「海香って昔から暑いのだめだもんねー、あたしは冬の方がやだわ…」


「美雪…それ名前が泣いてるよ…」

「それ海香もでしょ」


そんな他愛もない会話を交わすうちに、バスは目的地である学校に到着した。