いきなり背後で私の名前が呼ばれた。
しかも『桜ノ小路』で。
振り返るとそこには薄茶色の肩につくほどの髪の毛の長さがある男の人が立っていた。

「だれ?」

私は警戒しながらその人に聞いた。

「椎名…昴流…«シイナ スバル»…」

でも答えてくれたのは生馬だった。

「え?椎名…って…」

椎名…それは有名な椎名財閥。
彼は椎名財閥の御曹司だ。

「どぅも、椎名昴流です。初めまして、麗華様。」

椎名昴流は一歩片足を後ろに下げ前のめりになって頭を下げた。

「…どうも…」

「ちなみに俺様、2学年だから麗華の先輩だぞ?」

「あ…ごめんなさい。」

なんかこの人。
生理的に苦手かも。
相手がすごくしにくい。
生馬は少しだけ椎名先輩を睨んでいた。

「あの…話、聞いてました?」

「…聞いてたってか…麗華たちが勝手に俺様のいる部屋で話してただけ。耳に入ってきてもおかしくねぇだろ?」

ああ。はい。
やっぱり椎名先輩、苦手だ。
つまり盗み聞きしていた自分じゃなくて椎名先輩がいる部屋で話していた私たちが悪い。

「ってことは聞いてたんですよね?」

「当たり前じゃね?ほか何あんの?」

「いや…何もないです…」

「だよな?」

簡単に折れる私。
いや、どちらかというと先輩だから遠慮してる。
本当ならもっとガツガツいけるタイプ。