あまにばす


女の子達はお手洗いに行くとのことなので、僕達は劇場の前で待っていることにした。

「遊。さっきからずっと言いたかったことがあるのですが」

「え?なに?純也」

「集合した時のあれはなんですか!?はしたない!!」

ああうん。言われると思ってたけど。純也のことだし。いい奴なんだけど、なんていうか、お堅い?てやつ。

「うん。ごめん、、、優は僕のだって見せつけたかったんだ」

「私に謝っても仕方ないでしょう?全く。せいぜい来栖さんに飽きられないことを祈りなさい」

「ああ、分かってるよ」

しばらく、純也のお説教を受けながら待っていると、女の子達が何だかきゃあきゃあ言いながらやって来た。
何だろう。
というか、優が見当たらない?

「ふふふー遊君、見ておどろけぇ!」

結衣の合図で、女の子達が二手に分かれて、優が現れた。

すると、僕達の間から歓声が上がる。

さっきまで下ろしてた髪は、綺麗に結い上げられてポニーテールになっていた。サイドには三つ編みが施されていた。

「あ、あの。どう、かな。結衣ちゃんがしてくれたんだけど」

慣れない髪型に落ち着かないようで、しきりに首を気にしている。

ああもう。
そういう可愛いとこは僕にだけみせてよ。

僕は我慢出来ずに優を抱きしめていた。

「遊君?」

「似合ってるよ。可愛い。でも、あんまりみんなには見せたくないかな」



「あーもう映画始まるから入るぞー。バカップルも、置いてくぞー!」

光輝がまた仕切ってくれる。
もう、僕が今日はいつもみたいに出来ないって見切ったのかな。
その通りだけど。