あまにばす


映画の前に、お手洗いに行くと、入った途端に女の子達につかまった。

「え?」

「ねえ、ねえ、ねえ!来栖さんて本当に遊君の彼女だったのね!もうビックリ!てっきり私達遊君の片思いだと思ってたもの。ねー」

「ねー。本当。それより来栖さんもあんな顔するんだ。めっちゃ可愛いかったよね」

え、えと、えと。

「あ、あの?」

私が困っていると、後ろからむにゅっという感触とともに抱きしめられた。

「あーもぅ、ダメだよぉ、優ちゃんいじめたらぁ」

「結衣ちゃん!」

「えへへー優ちゃん可愛いなあーもう」

そういって力を込める。振り向いてたから顔、に、あの、ちょっと。

「ああ、結衣!来栖さんが!!」

「すとっぷ、すとっぷ!!」




「ごめんなさい!優ちゃん!結衣ったらつい、やり過ぎちゃって、、、」

「だ、大丈夫。大丈夫だから」

大丈夫だからそんな顔しないで。
、、、ちょっと苦しかったけど。
問題ないし。

「ごめんね。ああ、髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃったね。直させて?」

「あー確かに。これから彼氏と一緒に映画だしねー」

「え、あ、みんなも一緒じゃ?」

「え、知らないの?二人だけ座席遠いんだよ」

「え、ええっ。知らない。知らない」

そんなの聞いてないって。
だから遊君さっきガッツポーズしてたの?

一緒にいられるのは嬉しいけど、何だか嫌な予感がするのはどうして?