「あ、ありがとう!」


ってあぶない。

言いそびれるとこだった。


よかった、言えて。


私の声が届いたのか手を上げて
ひらひらとした。

クラスに入ると、
先生もほぼ同時くらいに入ってきた。


ギリギリだったみたいだ。


慌てて席につくと、
隣には土屋くんが座っていた。


座っているというより、
うつ伏せみたいな形でこっちを
見ている。


「おはよ。」


そう声をかけられ、挨拶を返す。


こないだ、食われるだとかなんだとか

瞬がいっていたのがふっと蘇り
落ち着かない。


そんなことはないって思うけど、

キスのやつを思い出すと

やっぱり気まずすぎる。


「ねぇ、」


不意に話しかけられ、

困惑していると


「放課後、話ある。」


と言われた。  


「わ、わかった。
 ま、ま、待ってるね。」


緊張で頭の中で話ってなに?

キスのことかな?とか

ぐるぐるまわってちゃんと言えてる
かどうかも不安だ。


HRが終わり、
土屋くんがどこかへ行ったのを確認すると


ふぅ、
自然とため息が出た。


真は、ニヤニヤしながら話を聞いてた

らしくなんだろうねなんて聞いてくる。

いや、わかんないよ、


私もパニックしちゃってて
なんていえないし。

「なんだろうね?」あはは

そう返した。

それで、菜美のクラスにいって

今日放課後、一緒に帰れないって

ことを話した。


菜美は
1人で大丈夫?とやっぱり心配してくれた

けどこれは自分のことだし 

ちゃんと自分の力で解決しなきゃ。

そう思い断った。


それでも、心配そうに

なんかあったら電話ね、電話!

と言ってくれた。


それだけで十分。


やっぱり、菜美はいいやつだ。 

あんなにも心配してくれて。


ストーカー事件の時も

ほとんど一緒にいてくれて

支えてくれてたから

今の私があるんだと思う。


感謝してもしきれないよ。