県外から転院してくる患者さんがいるほど、たくさんの機具が揃った有名なすごい病院だと聞かされていても、横たわっていることしか許されなかった私には、その凄さがまだ分からなかった。

すぐに帝王切開になってしまうと覚悟を決めていたが、何本もの注射や点滴でそれは抑えることが出来たが、辛い入院生活が待っていた。

私は元々血管が細く、採血をする時には、血管が逃げてしまい、いつも苦労をしていた。

今回の注射も、腕やお尻に何本も打たれ、注射の跡でいっぱいになっていた。

痛さに耐えるのに必死で、いつの間にか涙も消え、

「主人はもう着いたのかな」

「美友は大丈夫かな」

違う事を考え、気を紛らわせていると、ずっと一緒にいてくれたS病院のI先生と看護婦さんが帰ってしまう事になり、突然私は、寂しさでいっぱいになり、主人もいないしで、1人ぼっちになる想いでたまらなかった。

先生たちが帰った後も、診察や治療が続き、寂しさから抜け出せないまま、目をつぶっていろんな事を想っていた。