結局、2人きりにならないっていう約束は
先生に認められなかった。
「これからも一緒にいていいの?」
「いいよ。」
「でも・・・」
「どうした?」
「先生は迷惑かけてもいいって
言ってくれたけど、もう病気のことで
誰にも迷惑かけたくないの。」
「………」
「先生は・・・結婚して幸せになって。」
思ってることを伝えた。
すっきりしたというよりは
少し後悔してる。
だって先生が悲しそうな顔してるから。
「愛莉。こっちおいで。」
先生が大きく手を広げて
あたしのことを迎えてくれる。
まるで吸い込まれるようだった・・・
「ちゃんと話してくれてありがとう。」
「うん・・・」
「俺も同じ病気だったから、愛莉の気持ちも
わかるよ。誰にも迷惑かけたくないって
思ったこともある。」
「………」
「でも、それは間違いだった。」
「えっ?」
「施設で俺の面倒見てくれた人が言ったんだ。
自分では迷惑かけてるって思うけど、
その人は頼りにされて嬉しいんだって。」
「………」
「愛莉に迷惑かけられて嫌だなんて
思ったことない。もっと頼りにされたい。
俺の大切な人だからな。」
「・・・ありがとう。」
さっきよりも強く抱きしめてくれた。
あたしって幸せだな。
生きててよかった・・・
もうこれ以上は何もいらない。
もし死ぬときは
こうやって先生に抱きしめてほしい。
