先生がボタンを外そうとしている。
嫌だ。見たくない・・・
「これが手術の傷跡。」
思っていたよりも痛そうだった。
「・・・もう痛くないんですか?」
「うん。痛くないよ。」
ほんとに痛くないのかな・・・
もう発作は起きないのかな・・・
苦しくならないのかな・・・
無意識に先生の心臓に耳を当ててみた。
・・・ちゃんと動いてる。
「よかった・・・」
「何で愛莉が泣くんだよ。」
「こんなに苦しくてつらい思い、
先生にはしてほしくなかったのに。」
「・・・ごめんな。俺だけ治って」
「先生は悪くないよ。」
「………」
「幸せになって長生きしてくれたら、
それでいいから・・・」
いつも先生にされるみたいに
頭をポンポンってした。
「・・・ほんとバカだな。」
「せんせっ…」
強く抱きしめられた。
「お前も長生きするんだよ。」
「わかってるけど・・・」
「愛莉には迷惑かけられてもいいから。」
「………」
「生徒を家に泊めたり、ご飯食べさせてとか
言ったり・・・今日ここに連れて来たのも
愛莉が俺にとって大事な人だから。」
「・・・ほんとに?」
大きく頷いてくれた。
「ありがとう、先生。」
もっと長く生きられるなら
先生に好きですって伝えたかった・・・
