しばらくして先生が戻ってきた。
ここに来てからずっと元気がない・・・
「待たせて悪かったな。」
「・・・大丈夫です。」
「少し2人で話そうか。」
無理して笑っている。
頭をポンポンとされたけど
いつもみたいに嬉しくなかった・・・
先生の後ろに着いて行くと
目の前に見えてきたのは海だった。
遠くを見つめている先生。
どうしよう。何してあげられるかな・・・
「愛莉には話しておきたかったから。」
「・・・何のことですか?」
「俺は、さっきの施設で育ってきたんだ。」
「………」
どんな反応すれば良いのだろう。
先生の顔を見ることもできない。
「ある日、母親が迎えに来たんだ。
俺の手術のために・・・」
「手術って?」
「心臓移植。俺も愛莉と同じ病気だった。」
先生も?移植して治った?
「そんなの信じない・・・」
「・・・ごめんな。」
「どうして先生が謝るんですか?」
「それは・・・」
「謝らないでください。」
先生も今まで苦しくて
つらい思いをしてきたという事実。
それが嫌だったから。
